日本の歴史の中で独特の文化を育んだ奈良時代ですが、

当時都だった平城京跡のほど近くに、老舗のお菓子屋さんがあるのはご存知でしょうか。

その名も「横田福栄堂」さん。近鉄各線・大和西大寺駅北口から徒歩9分のところにあります。

 

こちらを代表する銘菓と言えば、ロングセラーの「みそせんべい」。

長きに渡って人気を持続する秘密はいったいどこにあるのか？

まずひとつに、ぶれない理念を挙げておきたいところ。

時代が経つにつれて、微妙な変化はあるものの、根本的な味は初代の時から変わらない―

この強いこだわりこそが、いまだに多くのお客さんから支持を得ている理由ではないでしょうか。

 

この街で昔から親しまれている五徳味噌を生地に練り込み、香り豊かに焼き上げた逸品。

焼きの作業に携わることを許されているのは、わずか2人の職人さんだけと言います。

この厳格さもまた、伝統を未来に継承していくためには必要なことなのでしょう。

 

そして、扱う商品はすべて手作業で梱包するというから驚きです。

お土産物や道の駅、百貨店などで何気なく陳列されているように見える品々にも、

相当の手間がかかっている―そのことに改めて気づかされます。

 

玉子の豊かな風味にピーナッツが小気味良いアクセントになった「豆板せんべい」は、

やさしい味わいで何度となく食べたくなる一品です。

奈良のシンボルをかたどった「鹿サブレ」も購入必至でしょう。

ひと口いただくと、若草山に点在する鹿たちのかわいらしい姿が目に浮かんでくるかのよう。

 

「天平瓦せんべい」のお楽しみは、大仏さんはもちろん、

五重塔やおなじみの金剛力士像など、四季折々によって絵柄が変わること。

うって変わって、官能的な食感がお好みの方には、「吉野風物詩 くず餅（白）」がおすすめです。

 

ゆっくりとした時間の流れる奈良の街で、手間を惜しまずに、

名物の味噌せんべいなどのお菓子を作り続ける「横田福栄堂」。

その変わらない味に出会ってみてはいかがでしょうか。